- 性別:男性
- 詐欺の種類:国際ロマンス詐欺
- 被害額:450万円
- 職業:会社経営
いやはや、今や、海外からお金を振り込ませて騙すなんて簡単なことですネ。
今日は私が実際に経験した国際ロマンス詐欺について書きます。
皆さんの参考になれば幸いです。
その前に少し自己紹介をいたします。
私は宮本(個人情報保護のため、仮名へ差し替えております)と申します。この度めでたく(?)国際ロマンス詐欺で450万円を騙し取られました。
現在、48歳で結婚歴があり、妻が一人おり(日本よ、一夫多妻制はまだか!?)、子供が二人います。
まず、私のことを簡単にご説明しましょう。
何不自由なく暮らす三代目社長。刺激を求めて・・・
私はとある会社で三代目社長をしておりまして、それなりにお金がある生活をさせて頂いています。
何不自由ない生活とよく言われます。
しかしそんなことはありません。家内が最近太ってきてしまい、魅力を見いだせなくなりました。
ということで海外のパッキンボインのチャンネーといい仲になりたいと思い、邪な心でマッチングアプリをしておりました。
彼女と出会ったきっかけは、私が不倫・浮気をしようとして使ったマッチングアプリでした。不倫相手を探したい、という不純な動機で始めたものでしたが、彼女と出会えたので結果的に良かったと、当時は思っていました。
カナダの女性軍人と、道ならぬ恋
彼女はカナダ人の兵士を名乗り、日本人女性よりも背が高く、それでいて胸が大きくてスタイル抜群でした。
軍服から見える谷間がもう、タマランチ会長!(笑)
また、英語が上手で、とても話しやすい雰囲気がありました。
顔は美形というよりは可愛い感じで、性格も明るくて一緒にいて楽しいタイプでした。
既婚者である私はいけないことと分かりつつも、彼女とのやりとりが楽しく・・・つい、頻繁にやり取りしてしまっていました。
やり取りも3ヶ月目くらいになったでしょうか。
彼女は戦場にいる合間に、愛のメッセージを送ってくれるようになりました。
この頃には、もはやLINEを使ってやり取りをしていました。マッチングアプリの利用料ももったいないですからね。
彼女も日本の文化を知りたいからといって、LINEをインストールしていたそうです。
おかげさまで、カナダの絶景の谷間や、日本では決して見られないようなデルタ地帯の風光明媚な光景など、今思い出してもタマランチ会長再び参上!ってなものであります(笑)
私もハッスルして、「これがオレ様の主砲だヨ!(笑)」と、写真や動画をこれでもかと送りまくりました。(だからこそ詐欺被害に気付いた時、家内になんて言えないので泣き寝入りを覚悟しました)
来日と独立を考える彼女と再婚の夢を持つ
何やら彼女は軍隊を除隊になった暁には、日本で飲食店を経営したいと考えているようで、私は将来の出資を約束したものです。
そんなある日、彼女が突然「今、ここで大変なことが起こってるんだ。すぐにお金を送ってほしい。どうしても必要なんだ。」と言い出しました。
「将来あなたの家族になるのよ」という甘言
彼女の説明によると、「私の派兵先に内戦状態の地域があるんだけど、そこにいる私の親戚が、クラスターにかかってしまった。だからその渡航費、治療費が必要なんだ。8人いるわ。全て、ゆくゆくはあなたの家族になる人たちよ」とのことです。尋常ならざる話です。
と言うか彼女は彼女で私との結婚を考えてくれていると言うでは、あ~りませんかっ!
治療させるか退避させるか、とにかく金が必要だということは私にもよく分かります。自慢じゃありませんが、その辺の感覚が優れているからこそ、ここまで我が社を築き上げて来られたのです。(結果的に私の感覚のせいで詐欺被害に遭いましたので、ここは賛否の分かれるところです。)
とにかく、コトは非常に逼迫していることがわかりました。
・・・あわよくば、彼女と「コト」に及びたい!
私の短距離弾道ミサイルが火を吹くぜ!
といったミリタリージョークも考えていたところ、そんな話ができる状態ではなくなってしまいました。
優れた経営判断?
「すぐにお金を送金する。どうしたらいい?」
そう聞いた私に、
「お金はすぐに送って欲しいけど、あなたの奥さんにバレないように送って!」と、こんな時でも彼女は私のことを気遣うのです。
そこで私はまず、日本男児の嗜みとして自分のことをきちんと伝えなければと思い、今までの経緯を話し、自分が既婚者であること、それでもあなたのことが好きなのでお金を送る準備があることを伝えました。
すると彼女からは「ありがとう。でも、大丈夫。そのお金はあなたが使ってください」と言われてしまいました。
意味が分かりません。
これほど困っているのに私の支援を断ったのです。
これが仮に、詐欺なら、確実に、すぐに、送ってほしいというところでしょう。
なんと奥ゆかしい女性なのでしょう。信じられません。
(まぁ結果的に詐欺でしたが)
「どうして?こんなに困ってるのに」
「私も今まで何度も騙されてきたから、そういうの分かるんです」
「えっ?」
「実は私も結婚詐欺にあったことがあるの」
彼女曰く、当時付き合っていた恋人と結婚資金を貯めるために、とある金融機関に口座を開設し、毎月決められた金額を預金していたそうです。しかしある日突然、銀行から連絡が入り、預入金の全額を持ち逃げされてしまったとのことでした。
「でもね、そのときは諦めずに、銀行の人に事情を説明してなんとかお金を取り戻してもらったの」
「そんなことがあったから、私はあなたに対してお金を送ってなんて本当は言えないの。本当に愛しているから。さっきは、頭がどうかしていたわ。ごめんね。」
こんな話を戦地でしてくれる彼女は、何と心優しい女性なのか…。
私はそう思い、トドのような愚妻と比較しながらお金を送ることに決めました。
送金先は、何でも彼女の軍隊に所属していた元通信兵が日本にいるため、その人物の口座に入金すればよいとのこと。普通に信用金庫の口座でした。
兵どもが夢の跡
お金を送ってから数日後。
彼女のマッチングアプリのアカウントがさっぱり消えました。
焦土作戦でもやったかな??くらいの勢いできれいに消えました。
それはもう、ぺんぺん草も生えないほどです。連絡の付けようがありません。
LINEはLINEで「そんなアカウント、最初からありませんでしたよ?」みたいな顔をしています。
とにかく、全てのやり取りの履歴がある日突然、忽然と消えてしまったのです。
私はここで気づきました。「やられた!」と。
「やりたい!」と思っていたら「やられた!」というのは、これいかに。(笑)
そうこうしている間に家内にめでたく詐欺被害にあったことがバレ、また勝手に送金したこともバレ、危うく離婚訴訟一歩手前まで話がこじれました。
私は手をついて家内に謝り、被害回復をすることを伝えました。
とはいうものの、どうしたらよいかわからず。
とにかく結婚詐欺や海外の結婚詐欺などの事例を調べまくりました。調べまくり。ラクリマ・クリ○ティです。(怒られないカナ(^_^;))
国際ロマンスが私の事例にピッタリとマッチ!?
するとどうでしょう。私の日頃の行いがよかったのか、お天道様は私に国際ロマンス詐欺事案というキーワードを与えてくださいました。
ここから導かれるようにして国際ロマンス詐欺被害に強い弁護士さんと出会うことができました。
そして被害相談をし、家内を連れて弁護士事務所へ相談を行い、そこで契約をして国際ロマンス詐欺被害の回復へと動きました。
結果的にカナダ人のパツキン美女の兵士は存在せず、代わりに存在したのはドレッドヘアーのアフリカ系男性が私の相手をしていた、という厳しすぎる現実でした。
私が振り込んだお金は弁護士の先生によって無事に回収され、報酬をお支払いしても十分すぎるほどのプラスリターンとなりました。帰ってくるはずもないお金が返ってきたのです。有り難いことです。
今後は私もお姉ちゃんとのお遊びはほどほどにして、商売に邁進しようと思います。
先生、この度は本当にありがとうございました。企業法務の面でもまたご相談させてください。
