ネット詐欺とは、インターネットを利用して金銭を騙し取る詐欺の総称です。
2023年近年パソコンやスマートフォンの普及などから、インターネットが幅広い年齢層に利用されるようになってきたことや、マッチングアプリでの出会いが増えていることなどを背景にしてネット詐欺被害は急増しています。
この記事では、ネット詐欺被害に遭ったと気づいた時にやるべきことや相談窓口について解説します。
ネット詐欺被害に遭わないために日々の生活で気をつけるポイントについても紹介していますので、インターネットの利用機会が多い現代人のみなさんはぜひご一読ください。
この記事でわかること
- ネット詐欺で金銭の被害に遭った時すぐにやるべき手続き
- ネット詐欺における返金の可能性について
- ネット詐欺被害の相談ができる窓口3選
- ネット詐欺に遭わないために自分でできること
ネット詐欺被害にあったらどうすべき?
ネット詐欺被害にあったと気づいたら、すぐに行動しなければなりません。
時間が経過すればするほど犯人の足取りはわからなくなり、払ってしまったお金が返金される可能性も低くなります。
まずは自分の被害の拡大を防ぐためにできることを全てやってから、ネット詐欺被害の事実について公表して他の人にも被害が広がらないように以下について対策しましょう。
すぐに銀行へ連絡
ネット詐欺には「ネット通販で購入した商品が届かず販売業者に連絡がつかない」など、さまざまな手口が見られますが、詐欺師の目的は金銭を騙し取ることです。
金銭の受け渡しに銀行振り込みを利用した場合は、すぐに振込先の銀行に連絡しましょう。
ここで重要なのは「振り込み相手の銀行」に連絡することです。
銀行振込の場合は「現金を相手に渡す行為」になりますので、入金してしますと基本的に受取人が返金しない限りお金は戻ってきません。
しかし、振り込み予約で日時をしていてまだ振り込み期日前の場合はキャンセルが可能な場合が多いため、銀行へ連絡して事情を話しましょう。
また、既に振り込んでしまった場合でも、ネット詐欺被害にあったことを説明しキャンセルを希望することで、振り込み相手に返金を応諾するか呼びかけてもらえます。
可能性は低いですが、相手が返金に応じることがあるかもしれませんのでまずは銀行に連絡して事情を説明しましょう。
クレジットカード決済の場合はカード会社に連絡
クレジットカードには「割賦販売法」が適用されるため、2回払いやそれ以上の分割払いとリボルビング払いで決済した場合、支払い停止を求められます。
また、ネットショッピングで商品が届かなかったり全く別のものが届いた場合や、カード情報を盗まれ勝手に使用された場合などは「チャージバック」という制度でで代金が返還される可能性があります。
チャージバックには理由や期限が必要なため、まずはクレジットカード会社に連絡して被害に遭った事実と被害について報告し、対応策を聞きましょう。
さらに、カード情報を盗まれて勝手に使われた場合はカードの利用停止や再発行等の手続きを取り、更なる被害拡大を防ぐことが大切です。
証拠をそろえて警察へ届け出
詐欺に遭ってしまったとわかったら、被害の事実を警察の報告して事件として扱ってもらいましょう。
詐欺事件として立件されれば、事件の捜査から犯人逮捕の可能性があります。
警察の報告するには「被害届」の提出が必要ですので、なるべく多くの被害がわかる証拠を集めておくことが必要です。
証拠として集めたいのは以下の4点です。
- 時系列にまとめた被害の経緯
- 被害の内容として商品購入時のメールなど詳細がわかるもの
- 振り込み明細やカード決済情報のスクショなどお金を払った詳細がわかるもの
- 相手とのやりとりがわかるメールの履歴など
これらの証拠をできるだけ集め、最寄りの警察署か「サイバー犯罪対策窓口」に相談して被害届を出しましょう。
詐欺被害にあったら返金できるのか?
ネット詐欺の被害金額は数千万円単位にのぼることもあり、被害に遭った時の金銭的ダメージは計り知れません。
一般的にネット詐欺の被害回復は難しいと言われていますが、泣き寝入りするのはNGです。
ここではネット詐欺被害の返金について難しいと言われる所以や、返金の可能性がある手段について以下のポイントで見ていきましょう。
銀行から被害金が分配される可能性もある
近年のネット詐欺の被害急増の救済措置として、「振り込め詐欺救済法」が平成20年から施行され、銀行で口座凍結措置が取られています。
これは振り込め詐欺救済法の元に、全国銀行協会では「事務取扱手続」により振り込み被害が認められた口座を凍結して、入出金を停止する措置のことです。
具体的には振込した人からの報告と依頼を受け、銀行の担当者が口座の履歴や内容を調べた上で適用されますが、短期間に大人数の振込があったり、生活や貯蓄などで使用されてないなどの詐欺と疑わしい特徴が適用の条件です。
口座凍結後は預金保険機構のホームページに詐欺に使われた口座情報や口座名義人の氏名などが公開され、口座名義人から権利行使を主張する届出がなければ預金の権利が消滅します。
その上で被害者の被害回復分配金支払申請の元に金融機関が支払該当者決定を行い、口座の残高が被害合計と同じか多い場合に限り「被害回復分配金」の支払を受けられる可能性があります。
つまり、振込先の口座のお金が動かされずプールされている状態で、同じ詐欺の被害者が少ない場合は返金の可能性があ流でしょう。
しかし被害から時間が経ってるなどで口座のお金が引き出されてしまったいたり、被害人数が多く被害額がそれぞれ高い場合は分配金が少額か、そもそも受け取れない可能性があることを覚えておきましょう。
返金は難しいケースも多い
詐欺被害の返金が難しいと言われる最も大きな理由は、「相手の身元や行方がわからない」ということです。
詐欺師本人の所有しているお金で返金されるため、詐欺師本人の意思がなければ難しいもの。
さらに、相手の住所や名前がわからなければ返金を求める「内容証明」を送ることすらできないため、サイトに記載されている会社名や住所や電話番号が実在しているかがとても重要です。
ほとんどのネット詐欺師は身元を隠して架空の会社をでっち上げているため、調べても詐欺師にたどり着かないケースがほとんどだと言われています。
また、先述した振り込め詐欺救済法における事務取扱手続も、詐欺師が口座からお金を移動していたら口座の凍結すら行われない可能性が高いでしょう。
ネットで詐欺被害にあった場合の相談窓口
ネットで詐欺被害に遭ってしまったら、まずはさらなる被害拡大のために銀行やカード会社に連絡することが大切です。
そして、自分が受けた被害についてどうしたいのかという目的に合わせて、優先させる相談窓口を選びましょう。
ネット詐欺被害に対する目的と目的に合った相談先は以下になりますので、自分が当てはまる相談先をぜひチェックしてください。
国民生活センター:詐欺にあったかどうかわからないときに
国民生活センターは、国民の消費に関する情報を全国から収集している独立行政法人です。
消費者被害の未然防止や拡大防止のために、個人からの相談を受け付け対応に関するアドバイスを受けることができるため、自分が詐欺に遭ったのか確信が持てない場合にまず相談することをおすすめします。
国民生活センターには「消費者ホットライン188」という相談窓口があり、専門の相談員が公正な立場で電話で相談に乗ってくれますので相談場所に出向くことが難しい場合にも相談しやすい窓口でしょう。
相談の際には、詐欺に遭ったと思った理由や経緯をわかりやすくまとめておくことをおすすめします。
国民生活センターの相談員は、数多くの相談を受けているため似ている事例や詐欺手口などの情報から、然るべき相談先についてアドバイスがもらえますので、自分が何をすべきか決める手助けになるでしょう。

警察:犯人に罪を償わせる
警察ではネット詐欺被害に対し、被害届を受理して事件と立件したあと独自の権限で捜査し犯人逮捕に尽力してくれます。
ネット詐欺は刑法の「詐欺罪」の容疑で逮捕され、起訴され有罪が確定した場合10年以下の懲役刑となる重罪です。
2度と同じ犯行を繰り返さないために、犯人に対して罪をしっかり償わせたいと強く希望する場合は、被害届の提出とともに強い意志を伝えましょう。
警察が被害届を受理したあと捜査する優先度は、被害者の数や被害金額や使われた手口によって変わってくると言われているため、被害届提出後数年経ってから操作が開始されることも珍しくないようです。
少しでも捜査や犯人逮捕の可能性を高めるためにも、被害の状況や犯人逮捕を望む気持ちを詳細に伝えましょう。
弁護士:被害金を取り戻したいなら
詐欺被害回復のための返金を請求できるのは、弁護士だけです。
返金請求とともに慰謝料の請求ができるのも弁護士に相談するメリットですので、とにかく被害金を取り戻したいという場合は弁護士に相談しましょう。
弁護士には被害者の代理人として、「振り込め詐欺救済法」に基づき銀行に口座の凍結を依頼できるため、自分で銀行に連絡しして上手く話せる自信がないという場合は力強い手助けになります。
弁護士に依頼するためには費用が必要なため、被害回復の可能性がなければマイナスになってしまう可能性があります。
ネット詐欺被害に遭ってお金を騙し取られた状況では、費用の捻出も簡単ではないでしょう。
弁護士への相談の際は、ネット詐欺の相談件数や解決事例が多い弁護士や、無料相談を実施している弁護士に相談することをおすすめします。

ネットで詐欺被害に遭わないために
ネット詐欺は被害回復が難しく、事件解決までに時間がかかることも多いと言われています。
大切な財産と時間を無駄にしないためにも、ネットで詐欺被害に遭わないよう自分で対策できることを知り、日々の生活で意識しましょう。
ネット詐欺被害に遭わないための大切なポイントは以下の4つですので忘れずに対策してくださいね。
取り引きは会社名や連絡先を確認してから行う
ネット詐欺に遭わないためには、詐欺相手と取引しないように相手が詐欺か見極めることが大切です。
ネット通販のウェブサイトであれば、以下の項目の記載が「特定商取引法」によって定められています。
- 氏名(事業所名称)、住所、電話番号
- 販売業者の責任者名
- 販売価格
- 商品の送料
- 商品引き渡し時期
- 支払い方法
- 支払い期限
これらの情報が抜けている場合は詐欺サイトの可能性がありますので、取引しないように注意しましょう。
また、これらの情報が載っていても、実在の会社情報を一部修正していたり実際事業を行なっていない可能性もありますので、少しでも怪しいと思ったらアクセスする前に情報を検索してみることをおすすめします。
あまりにも安い価格で販売しているショップは疑う
入手困難な人気の商品を正規価格の半額程度で販売するなど、あまりにも安い価格で販売しているショップはネット詐欺の可能性があります。
代金を支払ったのに商品が届かなかったり、偽物や別物が届くなどのトラブルが発生し、ショップに問い合わせても返答がないことがほとんどです。
大手のショッピングページ内にあるショップであれば、季節ごとやサイト独自のセールが開催されることもあるため、セールによる値下げが行われても不思議ではありません。
しかし、ネット詐欺ショップは多くの人が欲しがっている品薄の人気商品や、高価なブランドの商品を「独自ルートで限定入荷!今だけの特別価格」などと謳い、あたかも本物を限定で安く買えると思わせるのです。
そしてある程度お金を騙し取ったら、サイトを閉鎖したり音信不通になってしまうため、あまりに安い価格で販売しているサイトでは買わないことをおすすめします。
口コミも確認!悪い評判が多ければ取引しない
ネットショッピングでは実物を見てから購入できないため、写真と実物がかなり違うと感じることも少なくないでしょう。
イメージの違いなどの理由では、自己都合として返品や交換に応じてくれなかったり高額な手数料を請求される可能性があります。
明らかな偽物を売りつけて、法外な手数料を要求する悪質なネット詐欺業者避けるためには、口コミを確認するといいでしょう。
欲しい商品に対する口コミをチェックするとともに、ショップに対する口コミも見て、トラブルにしっかり対応しているかチェックするのが大切です。
サイトに口コミ評価が載っていない場合は、店名と商品名で検索すると被害にあった人が書いた口コミがヒットすることもありますので、あやしいサイトはチェックしてみましょう。
相手とのやり取りは残しておく
お金を振り込んだ事実の情報として、日時や場所、振込み先の口座番号と口座名義と金額がわかる詳細な明細は捨てずに必ず取っておきましょう。
クレジットカード決済の場合は、決済画面を写真に撮ったりスクショしておいていつでも見られるようにすることが大切です。
また、商品購入の際やトラブルがあったときにやりとりしたメールやメッセージ、通話の内容は詐欺被害の経緯や内容を明らかにするための大切な証拠になります。
警察や弁護士などに相談する際、メールの文面を印刷したり、相手の番号がわかる通話記録をいつでも提出できるようにそろえておくと、スムーズに対応してもらえる可能性が高いためぜひやっておきましょう。
まとめ
ネット詐欺は日常生活で被害に遭う可能性が高いため、日々インターネットを利用する上で常に注意が必要です。
あやしいサイトを識別するために情報を検索することや、明らかに不審な価格で商品を販売しているサイトを利用しないという対策を徹底しましょう。
しかし、気をつけていても気づかないうちにネット詐欺被害に遭ってしまう可能性はゼロではありません。
被害の拡大や二次被害を防ぐことと、被害回復のためにはネット詐欺にあったと気づいたらすぐ行動することが重要です。
まずはネット詐欺の詳細な情報を銀行や警察へ届け、被害届の提出や振込先銀行口座の凍結などを行いましょう。
その上で、ネット詐欺に関する相談実績が多く、信頼できる弁護士の中でも無料相談を受け付けている弁護士に相談することをおすすめします。
悪質なネット被害に泣き寝入りすることがないよう、被害回復に努めましょう。