新型ウイルス感染症・感染拡大の影響も手伝い、最近はインターネット上で出会いを探されたり交流を活発に行うという方が増えています。
これと比例して、恋愛感情を悪用した詐欺の被害件数も急増している傾向にあります。
マッチングアプリやSNS上でのみやり取りをして、恋愛感情に付け込みあなたからお金を無心するような卑劣極まりない詐欺犯罪です。
こういった詐欺は、犯人グループが海外在住であることを名乗ったりそもそも犯人が外国籍というケースが一般的です。
詐欺師は、SNSやマッチングアプリなど日本人が多く利用している会員制サイト・アプリの至る所に潜み、暗躍しています。
ここでは恋愛感情に付け込む詐欺の見分け方として3つのポイントをご紹介するとともに、実際に詐欺事案に遭遇した場合の対処法もお伝えしていきます。
- マッチングアプリで知り合った人を怪しいと感じている
- 外国人から投資の話があった
- 詐欺に遭ったかもしれない
- 詐欺かどうか見分ける方法が知りたい
当サイトでは、気軽に弁護士と相談してもらうため、LINEにてお話を伺っています。気になる方は、下記のリンクからラインQRを表示させ、登録してください。
恋愛感情を悪用した詐欺の見分け方とは?ポイント3つ紹介

この詐欺の最も卑劣なところは、恋愛感情を悪用したり「お国柄の違う相手との国際恋愛」という非日常につけこんで、犯人が出す可能性のある「ボロ」を巧妙に隠しているところです。
他方、最初から冷静に疑いの目でみると、犯人は以外とボロを出していることが多いもの。
しかし、この「ボロ」に気づけない、あるいは気づかないのが人間の心理というものです。
ここでは詐欺の実例に鑑み、おかしいな、と感じるきっかけになるポイントを3つまとめました。
1.写真が偽物
日本国内の結婚詐欺と異なり外国人による詐欺の場合、99.9%以上の確率でプロフィール写真が偽物です。
つまり実際にやり取りしている人物と、プロフィール写真で笑顔を浮かべている容姿端麗な外国人は別人ということです。
なお、写真が偽物かどうかを判別する簡単な方法があります。「Google画像検索」を使用する方法です。
Google画像検索は、写真をアップロードして検索をかけることで、インターネット上に同一あるいは極めて類似した画像を検索できるサービスです。
仮に検索対象の写真と同じものがヒットすれば、それは「偽物」の画像というわけです。
ちなみにこの写真はインターネット上のモデルのポートフォリオやInstagramなど、容姿端麗な人物が開設しているSNSから無断借用しているケースが多く、インターネット上で画像検索をかけた際に同一の写真がヒットすることも往々にしてあります。
この場合はほぼ間違いなく詐欺を疑ってしかるべきでしょう。
なぜなら本当の意味でマッチングや恋愛相手を探している、といった案件の場合、多少写真を加工したり、斜め45度など自分の映りが良くなる角度で写真を撮影することはあっても、まるきり別人の写真を使うことはまず、考えづらいからです。
また自分ではない写真を送ってしまっている場合、いざ実際に会う段になった時、困ってしまうのは本人ということになります。
つまり自分でもない写真を使っているということはすなわち「あなたと会うつもりはない」ということの表れということもできるわけです。
その他、最近では極めて巧妙な手口も2つ、見られます。
1つは「ネットに公開されていない画像素材を購入してプロフィールに使用する」という手口です。これは文字通り、インターネットに公開されていない画像を購入し、それをそのまま使用してしまうという方法になります。
この方法だとGoogleの画像検索では同様の画像がヒットしないため、極めて判別がつきにくくなります。
見分け方としては、素材として用意しているであろう枚数以上の写真を相手に送らせてみる、というものがあります。
この時即座に他の写真を送って来られない場合は、ストック切れを起こしている可能性が非常に高いです。
2つ目が「AIを使用して実在しない人物の写真を生成している」というケースです。
これは昨今非常に問題となっている手口です。具体的には、こういった実在しない人物の写真を生成できるシステムを悪用して、あたかも実在するかのような人物の画像を作ってしまう手口です。
この方法は近年、技術の進歩もあって非常に精緻なものとなっており、見破るのは困難を極めます。
見破る方法があるとすれば、AIが生成する画像はどこか「いびつ」な部分が見られるケースもあるため、細部に渡ってチェックすることでしょう。
2.職業が医師・軍人・投資家、令嬢など
とりわけ日本人をターゲットとした詐欺の犯人は医師や軍人、投資家を名乗る場合が多い印象です。
これらの職業を名乗る相手から連絡がきた場合、疑ってかかった方が良いでしょう。
そもそも軍人が戦地において、マッチングアプリを気軽に使えるといったことはまず、ありません。
軍隊には厳しい規律があり、その中でマッチングアプリの利用など現在位置・作戦の状況が判明してしまう恐れのあるやり取りは禁じられていると考えるのが一般的だからです。
昨今、報道の通り海外で国家間の戦闘・軍事侵攻が発生していますが、これらに関連する報道からも分かる通り、一般的に軍事作戦中に現在位置や部隊の機微がわかってしまうようなアプリの使用は禁止されています。
したがって、もし本当に軍人であれば、そういったアプリを使用できるはずがないのです。
もちろん、アプリ自体は使えなくてもメッセージのやりとりができるツールはあるかもしれませんが、少なくとも「軍に所属しており、作戦展開中である」という身分ないし状況を詐称していることはほぼ、間違いないと言えるでしょう。
また医師についても、軍に帯同している従軍医師である、または国境なき医師団のメンバーであると名乗るケースもあります。
こちらもまた、軍の規律やそもそもの激務を鑑みれば、呑気に日本人とマッチングアプリで交流している時間など全くありようもないわけです。
では、投資家という職業を名乗っているケースはどうでしょうか。
一般的なイメージとして時間に縛られない自由なライフスタイルであるといったものが先行するため、とりわけ海外の投資家となるとマッチングアプリで出会えるチャンスもあるのではないかと考えてしまいがちです。
これについては残念ながらその通りで、筆者の周辺でも過去、アプリで実在の投資家と知り合いゴールインまで至ったというケースも確かにあります。
ただし、多くの利益を上げている投資家が相手から金を無心するなどといった行為に出ることはまず、ないと言ってよいでしょう。
むしろ、相手に金銭的な負担をかけずスマートに恋愛を楽しみたいというのが、彼らの本音です。
このように、マッチングアプリで出会った相手が医者や経営者、資産家であったとしても、100%安心して良いというわけではないのが実情です。
そもそも投資家は時間に自由=お金にも自由ということになりますから、マッチングアプリで出会った相手に金を無心するような理由がないのです。
最近特に多い事例として、海外の名家令嬢を名乗るケースがあります。こちらについても存在を全否定することはできません。中には(すごい確率ですが)そういったケースもあるでしょう。
ただ、こちらも往々にして奔放に恋愛を謳歌しているイメージが先行しますが、どちらかというと令嬢は令嬢のコミュニティの中で良家の子息との交際を楽しんでいるというケースが多いものです。
よって、確率学的に言っても一般の方がこういった令嬢とマッチングアプリで偶然の出会いを果たし、恋愛関係に至る可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
そしてこちらも投資家同様に金に困らない名家の令嬢ということで、金を知り合ったばかりの日本人に無心することはまず考えづらいものがあります。
ちなみにプレゼントを贈るための関税を支払って欲しいといった依頼や、いわゆる送料を負担してほしいといった形で詐欺を働くケースもあります。
こちらも冷静に考えれば相応の「ご令嬢」ということで、周辺にこのような事態に対処すべくコンシェルジュや執事のような人物が控えていると考えるのが一般的です。
ということで、こういったことが実際にあったとしても、ほぼコンシェルジュや執事などから直接連絡が入るのが普通です。
その他、海外へのプレゼントについては本物の「深窓の令嬢」であれば保有しているクレジットカードのコンシェルジュサービスなどを利用することで、スムーズに届くのが基本です。
この場合も高級クレジットカードに付帯するコンシェルジュサービス担当者が高い技術や根回し力でプレゼントを迅速かつ的確に届けてくれるわけですから、間違っても受取人に関税の負担を強いることはまず、考えられません。
ということで彼ら・彼女たちが「本物」であれば、日本人に金を無心して何かを成し遂げようということは不自然極まりないと考えておきましょう。
それよりもはるかに快適でスムーズな方法を持っているはずだからです。
3.メッセージの雰囲気が日によって異なる
なんとなく、メッセージの雰囲気が日によって異なるというケースもあります。
恋愛感情を悪用した詐欺の場合、言語が英語のケースが多いことから日本人は特に、雰囲気の違いに気づきづらい傾向にあります。(特に英語という言語はもともと日本語と比較して細い機微や文体に特徴が出づらい言語構成であるため、英語話者同士ですら気づかないことがあります)
また英語を機械翻訳で日本語にしているケースもあり、このことがメッセージの雰囲気を判別しづらくしている要素でもあります。
とはいえ毎日やりとりしている相手の場合、たった一つの単語の使い方や絵文字の使い方などで雰囲気が異なる事を察知できるケースもあります。
例えばいつもは絵文字を大量に使う相手なのに今日に限って全く絵文字がない、というケースはよくあるパターンです。これは端的に言えば詐欺師が交代制で一人の人物を演じているためであり、たまたまその日は絵文字を使わない人物が担当者だったということに過ぎません。
【基礎講座】無邪気な出会いに潜む詐欺とは
ここで一旦、ブレイクです。
無邪気な出会いに潜む詐欺について基礎的なところをおさらいしておきましょう。
外国人と恋人関係になる
恋愛感情を悪用した詐欺は、外国人とSNSやマッチングアプリで恋人関係になるところから始まります。基本的にこれ以外で入り口はないと思ってください。
短期間で親しい関係になったり、向こうから熱烈なアプローチを受ける特徴があります。
ここまでは甘い言葉を投げられたりすることから、多くの被害者の方は一番楽しい期間だったと述懐されています。
あなたからお金を引き出すための多種多様なストーリー
- あなたにプレゼントを送りたい、送料が必要だが口座が使えない
- あなたのことが好きだから特別に情報を教える、一緒に稼ごう
- あなたを家族だと思ってお願いする、家族が病気でお金が必要
などなど、多種多様な筋書きであなたからお金を無心しようとするのが次のフェーズです。
つまりまとめると、手口としては「投資」「結婚」などの名目で金を引き出そうとしてくるわけです。
そして、ここからが詐欺の本番です。より大口の詐欺に接続するようになるのです。
大口の詐欺の具体的な手法としては、
- 海外に住んでいる親族に多額の借金をしている
- 家族の治療費がかさんでいて、このままでは一家離散してしまう
といった具合に嘘八百並べ立ててあなたにお金を要求してくるという流れになります。
この段階で被害者は、この人物は本当に自分に好意を抱いているのか、それともこの話は本当に事実なのかと疑うようになるのが通常です。
しかしこのフェーズまで来ると恋愛のフィルターがかかってしまっており、なかなか疑うことが難しいという側面があります。
そこで、こういった状況に陥ったら、まずは「相手の言っていることを鵜呑みにしてはいけない」という前提に立って行動することが重要です。
また、こういった手口でお金を騙し取ろうとしているのが分かっていながら、それでもなお騙されてしまうケースも存在します。それは「恋」のせいなのです。
- 「この人は自分を愛してくれている」
- 「この人なら自分のことを守ってくれる」
- 「この人と一緒になりたい」
などなど、恋愛の感情が「この人を信用したい」という気持ちを増幅させてしまうため、被害に遭ってしまうわけです。
さらに「この人の言うことは全部本当のことだ」と信じるのではなく、「この人が言っているのは真実ではないかもしれないが、何らかの事情があってそう言わざるを得ないのだろう」というふうに考えてしまうケースも多いのが恐ろしいところでもあります。
現に過去、銀行の窓口で「騙されていてもいいから振り込ませてほしい」と必死に訴えた詐欺被害者の方もいらっしゃいます。
米軍兵士と名乗っているが中身がアフリカ国籍のケースも
基本的に犯行グループはアフリカや中国など、アメリカ国内ではないケースが目立ってます。
よって米軍兵士であると名乗っているにも関わらず、中身の人物は南アフリカの某国の人物だったというケースもあります。
この場合状況によっては英語の訛りが強すぎて、米国人のネイティブではないとすぐに看破できるケースもあります。しかしこのように英語のなまりや特徴を看破できる人物はそもそも、犯行グループからすればターゲットではありません。
詐欺師はどこに潜んでいる?

では、詐欺師はどこに潜んでいるのでしょう。
よくあるサイトやSNSの特徴をまとめました。
マッチングアプリ
基本的に恋人を探す場所であることから、詐欺師が最も網を張っているのがマッチングアプリです。TinderやOmiaiなど様々なマッチングアプリで詐欺師の存在が報告されています。
誰もが食いつきそうな美しい容姿の写真を武器に、被害者が出てくるのを虎視眈々と狙っています。
SNS
FacebookやTwitter、Instagramなど世界的に流行しているSNSでも、詐欺師の存在が報告されています。面識がないのにいきなりコンタクトしてくるのがその特徴です。
面識がない相手からいきなりコンタクト申請が来た時には、相手が詐欺師である可能性を念頭にコミュニケーションを取るべきです。
または完全にブロックしてしまうのも良いでしょう。
言語学習アプリ
ハロートークなどの言語学習アプリにも詐欺師は潜んでいます。
なおこういった言語学習アプリや言語交換アプリ・SNSはそもそも恋人探しが規約上禁止されています。ブロックしてすぐに運営事務局へ通報してしまいましょう。

【よくある質問】Q&A
ここでは恋愛感情を悪用した詐欺に関してよくある質問をまとめました。
Q&A形式でご紹介していきます。
Q:グラマラスな金髪美女とSNSで仲良くなりました。詐欺ですか?
この情報だけでは何とも言えません。
実際に詐欺ではなく、本来の国際恋愛だったというケースもあります。
しかし見分け方の一つとして、写真があまりにも整いすぎていたり、インターネット上に同様の写真がある場合には詐欺を疑ってかかるべきです。
また金の無心をされるといった行為についても基本的には詐欺と断じてよいでしょう。
実際に会ったことがある、または実際に相手の素性がはっきりしていて住所も確認できているといった場合は多少警戒を緩めても良いでしょうが、直近で出会ったばかりのグラマラスな金髪美女から金品を無心された場合は、ほぼ詐欺と見て良いでしょう。
Q:恋愛感情を悪用した詐欺は逮捕出来ないって本当ですか?
インターネット上での人の好意を悪用した詐欺は、イメージ的に犯人が海外にいることから、犯人引き渡し条約などの兼ね合いで逮捕できないまたは、逮捕が極めて難しいという風潮があります。
こちらについては実際のところ、その通りと言わざるを得ません。そもそも詐欺罪は立証が極めて難しい犯罪の一つであり、国内の詐欺でさえも早々に逮捕ができないというケースがよくあります。
被害申告をすることで、犯人を逮捕できる可能性があります。というのも犯人が日本国内に潜伏しているというケースが最近多く、専門家の介入によって詐欺が立証できるケースも多いからです。
ひとまず警察へ被害届を提出し受理してもらうところが極めて重要なポイントとなります。
ただし自助努力によって警察に被害申告をしても被害届が受理されないケースが最近多いため、まず弁護士へご相談いただくのが第一段階と言って差し支えありません。
Q:家族がSNSで知り合った海外の女性に熱を上げています。すでに送金もしています。詐欺の可能性はありますか?

残念ながら可能性は極めて高いと言わざるを得ません。
法律を扱うテレビドラマでも以前同じような題材が放送されていましたが、実際によくあるケースとして中高年~高齢の方がスマートフォンをお持ちになり、SNSを始めたばかりの時に詐欺に遭遇してしまうというケースが多くなっています。
この場合は特にインターネットリテラシーや、いわゆるSNSでの自衛策や護身術の類を理解しておられず、また免疫もないというケースがほとんどであることから、ストレートに詐欺被害にあってしまう傾向にあります。被害額も高額になる傾向にあります。
Q:父が国際詐欺にあっている可能性があり、浮気を疑った母が出ていこうとしています。止める方法はありませんか?
ひとまず詐欺に遭っていることが明らかな場合で、かつ受任に至った場合、依頼者の希望があれば弁護士などがご家族へ事情をご説明することは可能です。
このように恋愛感情を悪用した詐欺はご家庭の関係をも破壊してしまう恐れのある凶悪犯罪です。まずは弁護士という第三者かつ専門家を介入させることは、こういった副次的なトラブルの防止にもつながると言って良いでしょう。
まとめ
恋愛感情を悪用する詐欺は卑劣な犯罪であり、同時に最近日本人の被害額が高額な傾向にある犯罪です。
犯人の逮捕や返金要請・返金についても、犯人グループが日本に潜伏しているといった社会情勢やその他、警察及び関係諸機関との弁護士の適切な連携により、全く不可能なことではなくなってきました。
特殊詐欺に関連する各種法整備も進んでいることから、昭和や平成の時代のような「泣き寝入り」という事例は徐々に少なくなってきているのが現状です。
例えば当事務所のように詐欺の相談が多数寄せられている弁護士、又は法律事務所へご依頼をいただくことにより、被害回復に向けて総合的にアクションを起こすことが可能となります。