世の中には国際ロマンス詐欺を見破ってなお、詐欺師と連絡を取り合って逆に詐欺師側を翻弄してしまう強者も存在しています。そのような対処法を推奨することはできませんが、今回はこのように詐欺師相手に遊んだ面白い事例を具体的に紹介していきましょう。
・急増中の国際ロマンス詐欺という犯罪の特徴がわかる
・逆に詐欺師を騙して遊んだり楽しんだりした具体的な事例がわかる
・国際ロマンス詐欺の可能性がある5つの危険な特徴がわかる
・実際に国際ロマンス詐欺に遭遇した際の対処法がわかる
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国際ロマンス詐欺とは?急増中の犯罪の特徴

国際ロマンス詐欺とはどのような手口の詐欺なのでしょうか。国際ロマンス詐欺とは、インターネットを利用して外国人を語る人物とやり取りをするうちに交際関係・恋愛関係に発展し、その後その人物から金銭などをだまし取られる類型の詐欺のことをいいます。
ロマンス詐欺の被害として現金のだまし取り方はさまざまで、投資詐欺の類型や立て替え払い類型などがあります。
以下でこの詐欺の特徴を詳しく解説していきましょう。
SNSやマッチングアプリなどネット上で出会う
国際ロマンス詐欺では、外国籍を装う人物からインターネットを通じてメッセージが送られてきます。Twitterやフェイスブック、インスタグラムなどのSNSアプリのみならずマッチングサイトや出会い系サイトなどからアクセスしてくることもあります。
国際ロマンス詐欺の詐欺師は実際には存在しない架空の第三者を演じている可能性が高いです。そのため実際に会ったりテレビ電話で顔を見せることができません。
すべてのやり取りをネットワークを利用したテキストで完結しなければなりませんので、SNSやウェブサイトのメッセージ機能を利用するのです。
甘い言葉を使って積極的に口説いてくる
SNSやマッチングアプリを使用してメッセージのやり取りが続くと、すぐに甘い言葉や恋愛関係を匂わせて積極的に口説いてきます。
短期間の間に熱烈な愛情表現を受けることになる理由としては詐欺師は被害者からできるだけ早くお金をだまし取ろうと画策しており、すぐに被害者の懐に飛び込もうとしているからです。
そのため詐欺師はできるだけ短期間でもたくさんのメッセージのやり取りを行い、被害者に安心感と恋愛感情を抱かせるように努めるのです。
このような目的から日本人であれば通常は使用しないような口説き文句や愛情表現のセリフを多用して口説き、被害者を支配しようとしているのです。
送金や投資への参加を促して金銭を騙し取る
被害者と信頼関係を築き、恋愛関係を抱かせたところで、送金や投資への参加を促して金銭の支払いを要求してきます。
恋愛関係や結婚を口実に現金の支払いを誘導してきます。
具体的には「結婚するための準備資金として」「将来2人で生活するための生活費を作るために」などといって仮想通貨や株式投資に誘導することが典型的です。中には投資セミナーに参加を促され、絶対に儲かる、必ず配当金が出るなどと謳う金融商品を購入させられるというパターンもあります。しかし実際は現金を預けた業者と連絡が取れなくなったり、入金したものの現金が引き出せなくなったりしてだまし取られたことに気づくケースが頻出しています。
またお金が必要となる事態やトラブルが頻出するという手口もあります。具体的には「会社で損失を出し穴埋めのための資金が必要」、「家族が急に大きな手術をすることになったが医療費が不足する」「プレゼントを贈ろうとしたが税関で没収され罰金を支払わなければならない」などと言って現金の支払いを要求するものです。
多くの場合、被害者が多額の現金を支払うと先方からは連絡が途絶え音信不通になるというのが典型的です。
国際ロマンス詐欺で遊ぶ人もいる?詐欺師を騙して楽しんだ事例

しかし中には、国際ロマンス詐欺を見破り、詐欺師とメッセージのやり取りを楽しんでしまう強者もいます。
そこでここでは詐欺師の手口に気づき、逆にだまされたふりをして詐欺師を翻弄した事例を具体的に3つご紹介しましょう。
事例①心理カウンセラーの女性が詐欺師と遊んでみた事例
この事例は、心理カウンセラーの女性がSNS・インターネットを通じて集客していたところ、国際ロマンス詐欺の詐欺師からメッセージが送られてきた事案です。
この女性は最初から相手がロマンス詐欺の詐欺師であると見破り、どの時点で金銭の支払いを要求してくるのか興味があったことからやり取りを続けてみました。相手は外国籍の独身男性を装った人物でした。やりとりは全て英語でしたが、ネット上の翻訳機能を駆使してやり取りを続けてみました。
この女性は心理カウンセラーですから「心理戦のプロ」でした。そのため当初はまったく相手のことを信頼していない様子を見せるも、徐々に相手を信頼したように見せかけて相手からは落ちたように見せかけました。しかし再度信頼できないと言って揺さぶりをかけるという方法でやり取りを続けました。
詐欺師も女性に対して、最初は「配偶者と別れて自分と結婚して欲しい」と言っていましたが、雲をつかむような女性の態度に翻弄され「不倫関係でもよいので関係を続けたい」と態度を変更してきました。
女性が面白がってそのようなやり取りを数日続けていると、詐欺師の方から「安全な赴任先から紛争地域に移動することになった」と言い出し「君にお金を送りたい」「プレゼントを贈りたい」とよくあるロマンス詐欺のパターンを見せ始めます。
相手は女性の住所、氏名、電話番号を聞き出そうとしてきましたが、最初から詐欺だと気づいていた女性は当然個人情報を教えることありませんでした。
詐欺師が本性を現したところで女性は相手と連絡をやめたため関係は終了となりました。
事例②詐欺師におかしな写真を送らせて遊ぶ事例
ここでは、詐欺師におかしな姿をさせた写真を送るように要求して遊ぶ事案を紹介しましょう。
この事例の詐欺は、アフリカやアジアなどの発展途上国から突然メールが送られてきてテキスト上のやり取りだけで相手を信用させて、多額の現金や物品をだまし取るという詐欺類型です。具体的にはオークションサイトの質問欄などで接触してきて「出品しているものを高い金額で買い取りたい」として、料金は必ず払うので現物を先に送って欲しいなどと言って財産をだまし取るというような手口で知られています。
この類型の詐欺は英文でのメッセージのやり取りが主流ですので英語使用が一般的ではない日本では被害報告は少ないですが、英語圏ではこの類型の詐欺での被害者が多数報告されており、数千万円を超える被害に遭うケースもあります。
しかし、そんな詐欺師を懲らしめるための海外サイトが存在しています。
このサイトでは、詐欺師ハンターを自称するユーザーが上記のような詐欺師に連絡して、「〇〇してくれないと信用しない」「〇〇してくれたらお金を払う」と言って、詐欺師に無理難題を要求しその様子を写真に撮らせてネット上に晒すというものです。
具体的には、
・生魚を頭の上に乗せてくれないと信用しない
・牛乳を頭からかぶらないと信用できない
・食パンを一斤まるごと頭に乗せてくれないと信用しない
・顔にメイクをしてロックバンドのようにポーズを決めてくれないと信用しない など
と要求して、リクエストに応じた詐欺師の間抜けな姿を写真に収めさせるというものです。このほかにもこのサイトでは、詐欺師におかしなタトゥーを入れさせたり、木彫りのテレビゲーム機を作らせたりと詐欺師を利用した大喜利の様相を呈しています。
事例③偽造パスポートを見せられて指摘して遊ぶ事例
この事案は、アメリカ軍兵士の男性を語る人物からSNSを通じてメッセージをやり取りして偽造パスポートなどを提示させた事例です。
この事例ではある女性のSNSアカウントに、メッセージ機能を利用して自称アメリカ軍人の男性から連絡が来ます。この女性は相手が常に兵士であることをアピールしてきたり、ネイティブスピーカーなのに英語がたどたどしかったり、最終的にはお金の振り込みを要求してきたりしたことから、国際ロマンス詐欺であると確信しました。
そこで女性は執拗に相手を追及して相手のインスタグラムアカウントを教えてもらうことに成功しました。するとそのインスタグラムのフォロワーの半数以上がナイジェリア人であることが判明し、アカウント主がアメリカ人でないことが明らかになりました。
女性は相手に対して国際ロマンス詐欺の疑惑を突き付け、IDやパスポートを見せろと要求しました。相手は「これほど愛しているのになぜ信じてくれないんだ」と言って兵士であることを示すIDの写メを送ってきました。しかしこれが明らかな合成写真でしたのでおかしな点をすべて指摘しました。すると翌日相手方からパスポートの写メが送られてきました。しかしこれも顔写真部分がずれた明らかに捏造された画像でした。
女性は相手から送られてきた顔写真を画像検索にかけたところ、名前も素性も全く異なる別人がヒットしました。その人物には奥さんも子どももいることが分かり、名前も全く異なる人物でした。
女性はこのことを詐欺師に告げると、詐欺がばれたためか相手とのやり取りは途切れその後何の連絡もこなくなりました。
事例④詐欺師につきあってボロを見つけ出した事例
この事例はある男性がSNSで連絡を取り合ってきた自称アメリカ軍人を語る詐欺師に付き合ってボロを追及した事案です。
男性はSNSを通じてシリアに極秘任務で駐留しているという自称アメリカ軍人とやり取りをしていましたが、やり取りをしている短期間の間に不審な点がいくつも目に付くようになりました。
例えば、相手は20年軍隊に所属していると言っていましたが、現在50歳を迎え20歳から従軍しているとも言っているので計算が合いません。また一人娘をイギリスの寄宿学校に入れているにもかかわらず、本人はイギリスに渡航した経験がないと言っているため矛盾しています。また任務地での食事は全て缶詰であると言うので缶詰の写メを送れと要求してもそれはできないと不自然な返事がくるばかりでした。
男性は詐欺であることを疑っていました。やり取りを初めて数日後、軍人のはずが何故か会社から荷物の配達を命じられたので男性に受け取りを依頼してきました。そして男性が海運会社に送料を立て替え払いすることを要求するメッセージが届きます。
さらにメッセージにリンクが貼られていた海運会社は実在する会社の名称の一部を変えた偽サイトであることが判明しました。
この男性は以上のような詐欺師の矛盾する「お粗末な設定」と、送られてきた「詐欺サイト」の事実を指摘すると、もうこの男性をだましきれないと観念したのか諦めたようなメッセージを最後にこの人物とのやり取りは終了してしまいました。
国際ロマンス詐欺のサインはわかりやすい?詐欺師の特徴

それでは国際ロマンス詐欺の詐欺師の特徴について解説していきます。国際ロマンス詐欺では手口やメッセージの内容に共通する点がありますので、以下で解説する要素に複数該当する場合には詐欺を警戒してください。
プロフィール写真がイケメンか美女の写真である
国際ロマンス詐欺の場合、SNSや出会い系サイト、婚活アプリのプロフィール写真がイケメンや美女の写真であることが多いです。
しかし国際ロマンス詐欺の場合、第三者の画像を無断で使用しているケースがほとんどです。ロマンス詐欺では詐欺師は被害者とテキストベースでのやり取りにより現金をだまし取ろうとしますので、美男・美女の画像を利用して被害者に好印象を与えようというとしているのです。
医師や軍人などの職業を装っていることが多い
国際ロマンス詐欺の詐欺師は、実際には存在していない架空の人物を演じて被害者をだまします。詐欺師が装うことが多い職業としては「軍人・軍医」、「医師」、「弁護士」、「個人事業主・投資家」などです。被害者を信頼させるために一見して軍人や医師であることがわかる写真や画像をアカウントに設定していることもあります。
いずれも職業も社会的な信用が高く、経済的にも余裕があるという印象を与えることができます。したがって、被害者にとって交際相手や結婚相手の候補として考えるのに魅力的な社会的な地位であるということができます。また金銭に困っていないということで「まさかこの人が自分から現金をだまし取ろうとしているはずがない」と誤解させることもできるのです。
マッチングアプリからLINEなどに誘導してくる
フェイスブックやマッチングアプリでやり取りをしてきたところ、LINEでのやり取りに移行するように誘導してきたら国際ロマンス詐欺の可能性があります。なぜ詐欺師はLINEを使いたがるのでしょうか。
まず被害者として騙そうとしているターゲット層が日本人なので日本人の間で広く一般的に普及しているメッセージアプリがLINEだからです。さらにLINE以外のSNSツールの場合にはユーザーから詐欺アカウントであると通報されてしまうためアカウント停止や凍結のリスクがあります。
しかし、LINEは一対一を基本としたメッセージアプリのため、相手からブロックされるリスクはあるものの、アカウント自体が停止・凍結される可能性は少ないのです。
したがって、詐欺師はLINEでのやり取りを好み被害者のLINE IDを知りたがるのです。以上よりこれまで何の支障もなく他のメッセージアプリを利用できていたにもかかわらずLINEへの移行にこだわるような人物は詐欺師の可能性が高いです。
なお欧米圏ではLINEアプリは普及していませんので、欧米人を語っているにもかかわらず当たり前のようにLINEを使用している場合には怪しいと疑いましょう。
同情を誘うようなエピソードをしてくる
また国際ロマンス詐欺の詐欺師は人間関係にコミットさせるために同情を誘うようなエピソードを創作して語ってくる傾向があります。
例えば、「家族が難病を患っているがシングルマザーであるため苦しい生活を強いられている」、「平和維持活動をしたくて戦地に派遣されているが、そこで仲間を失った」などというエピソードを語り、被害者がこの人のために何か力になりたいと思うように仕向けるのです。
恋愛や結婚を匂わせて投資や送金するように言ってくる
詐欺師の最終的な目的は現金をだまし取ることにあります。そのため交流を深めて被害者に恋愛感情を抱かせたところで恋愛や結婚にかこつけて現金の支払いを要求してきます。場合によって、一度支払ってしまうと複数回にわたって現金の支払いを求めてくることもあります。
被害者から十分な現金をだまし取った際には、もう被害者と連絡を取る必要はありませんので一切の連絡手段が断たれてしまう可能性が高いです。
LINEであればブロックされたり、その他SNSであればアカウントを削除したりしてそれ以上連絡手段がなく相手方と何の連絡も取れないという事態に陥ることになります。
国際ロマンス詐欺師に遭遇したらどうする?

それでは国際ロマンス詐欺に遭遇したらどうすればいいのでしょうか。詐欺師に金銭をだまし取られない、被害を最小限に食い止めるためにするための対処法について解説していきます。
「怪しい」と思った時点で連絡を取り合わない
第一に知らない人物からのDMやメッセージには反応しないことが重要です。国際ロマンス詐欺ではSNSやマッチングサイト上のDMなどを通して接触してくることがほとんどです。したがって、見知らぬ外国籍の軍人・医師・実業家を語る人物からの連絡は無視するか警戒して臨むようにしておきましょう。
そのうえで、やり取りの中で矛盾する言動が目立つ場合や不審な点がある場合にはその時点で連絡を取ることをやめるようにしておきましょう。
マッチングアプリの場合は運営に通報しておく
一定のSNSやマッチングアプリの場合には詐欺対策の警告や通報制度が準備されている場合があります。そのため国際ロマンス詐欺の疑いがあるアカウントと遭遇した場合には運営に対して通報しましょう。運営側で詐欺アカウントを判断された場合には当該アカウントが停止されたり抹消されたりする可能性もあります。
サイトやアプリの運営が適切に対応してくれるだけで詐欺師からの接触を撃退できる場合もあります。
個人情報の漏洩・お金のやり取りは絶対にしない
インターネット上で個人情報を教えたりやお金のやり取りが発生したりすることは絶対に行わないと心にとめておきましょう。
具体的にはあなたの住所、氏名、電話番号・メールアドレスなどを聞かれたとしても絶対に教えないようにしておきましょう。また相手方に対してこれまでに金銭を振り込んだことがある場合にも、被害額を最小限にとどめるためにこれ以上振り込まないようストップしてください。
心配な場合は信頼できる弁護士に相談しよう
国際ロマンス詐欺の詐欺師に自分が騙されているのではないかと不安な場合には、信頼できる弁護士に相談するのも有効です。
国際ロマンス詐欺事件に精通した弁護士に相談することで、あなたのケースが詐欺事例かどうか、またその場合にあなたがとり得る対処法についても適切にアドバイスしてもらうことができるでしょう。
この手の事件に明るい弁護士か否かを調べるには、事務所のホームページで国際ロマンス詐欺に対する解決実績やコラム・記事を多く掲載しているかどうかという点から判断することができるでしょう。
まとめ|国際ロマンス詐欺師で遊ぶ人もいた

この記事では国際ロマンス詐欺の詐欺師を相手にやり取りをして遊ぶ人もいたことを説明しました。しかし詐欺師はあなたから現金をだまし取ろうとあの手この手で接触してきますのでこのような対応には危険性も伴います。
そのため、もしあなたが国際ロマンス詐欺に遭遇した場合にはこれ以上の接触は避けるようにしてください。そして詐欺の被害に遭ったと思われる場合には適切に対処するためにも弁護士に相談するようにしてください。
